寒い時期の必需品となるアウター。
アウターの中でもデザインが豊富で選択肢が多いコートは、金額もそれなりに高いものが多く、どれを選んでいいのか悩むという方も多いかもしれません。
レディースコートはシルエットや素材、形などで名前が異なり、どれを選ぶかによってスタイルも変わり、向き・不向きのコーデもあります。
この記事では、レディースコートの種類や選び方、合わせたい小物、着こなしポイントについて詳しく紹介します。
レディースコートの種類

レディースコートの種類は、大きく分けて10種類あります。コートの種類によって着こなしのポイントは異なるため、それぞれの特徴や印象をチェックしてコーデに活かしましょう。
トレンチコート
トレンチコートの「トレンチ」とは塹壕を意味し、第一次世界大戦中にイギリス軍が防寒のために着用していたもので、寒冷地での戦いができるように防水仕様になっていました。
トレンチコートは、肩部分にエポレットというベルトがついていることや、胸部分の当て布であるガンフラップ、D字の金具のDカンなどが使われていることなどが特徴です。
サッと着用するだけでしっかりしている感じを演出できるトレンチコートは、フォーマル感を演出しながらおしゃれに決まるのも魅力といえます。
また、トレンチコートは大人な雰囲気が定番であるため、きちんとした大人スタイルやスーツスタイル、カジュアルスタイルとの相性もぴったりです。
トレンチコートのベストシーズンは春と秋で、快適に着用できる気温は10℃~20℃といわれています。
チェスターコート
チェスターコートとは、丈がやや長めの膝丈が基本で上襟があり、背広に近い見た目とクラシカルな印象が特徴的なコートです。
諸説ありますが、19世紀にチェスター・フィールド伯爵が着用したことが由来とされています。
襟部分がテーラードジャケットと同じような形状をしており、テーラードジャケットの雰囲気をそのままコート丈にしたようなイメージです。
フォーマルスーツとして着用されることも多く、スーツの上に羽織ったり、普段着として幅広く着用して着こなしたりもできます。着丈のチョイスやボタンの開閉などで幅広い着こなしが楽しめます。
以前は男性用コートとして流行していましたが、最近は女性にも人気です。
ステンカラーコート
ステンカラーコートとは、襟腰と呼ばれる立て襟がついたコートのことで、装飾が少なくシンプルなアイテムが多く万能コートとして長年愛されています。
後ろ襟が高く前に向かって下がるように折り返る襟が特徴で、1850年代前後に雨避けとして着用されていたケーブがルーツといわれています。
ビジネスシーンで多く着用されており、ブラックやベージュ、ホワイト、ブラウンなどの色合いが定番です。
また、袖がラグランスリーブ仕様となっており、首から脇にかけて斜めの曲線を描くような生地の切り替えが入っているため、腕が上がりやすく動きやすいデザインとなっています。
ステンカラーコートは装飾が少ない分、素材やシルエットによって印象が大きく異なります。そのため、季節に合った素材を選ぶことや適切なサイズを選ぶことが大切です。
ノーカラーコート
ノーカラーコートとは、襟のないコートのことで、大きく分けてロング丈・ミドル丈・ショート丈があります。
長さによって印象も変わるため、好みや着用したいシーンに合わせて選ぶのがポイントです。ロング丈のノーカラーコートはフェミニンな印象で、寒い日も羽織るだけで暖かく過ごすことができます。
また、襟がないためタートルネックが映えたり、フード付きの服を着ても首元がもたつかなかったりなど、他のファッションアイテムとの相性が良いことも特徴です。
冬の防寒に欠かせないマフラーも、襟があるアウターに比べて「巻きにくい」「着心地が悪い」などの不快感もありません。
スタンドカラーコート
スタンドカラーコートは立ち襟のデザインを持つコートの総称で、ビジネスシーンでも使えるスタイリッシュなアイテムが多く、メンズ・レディース問わず人気を集めています。
高さのある襟があることによって、冷たい風の侵入を防ぐメリットがあります。また、襟を立たせて着用するのが基本であり、襟が小ぶりであるため、首周りがコンパクトにまとまるのも特徴です。
首周りのバランスが良いのも大きなポイントであり、ボタンをすべて開けても広く開くことがないため、Vゾーンのバランスも良くなります。
きちんとした印象であるため、オフィスコーデにもぴったりで、カジュアルなコーデに大人の雰囲気をプラスしたいときにも最適です。
ダウンコート
ダウンコートは、ガチョウやアヒルなどの水鳥の羽毛とダウンを使っている防寒用アウターで、軽量でありながら保温性に優れているメリットがあります。
ダウンジャケットが腰くらいの丈感であるのに対し、ダウンコートはお尻が隠れるくらいの丈感です。
ダウンコートのメリットはダウン特有の暖かさですが、使用されている素材によって保温力は異なります。また、素材により風の通しやすさなどが変わるため、用途によって選ぶこともポイントです。
ボリュームのあるシルエットでモコモコした質感であるため、ラフな印象になりやすいですが、黒やベージュのように落ち着いた色ならきれいめコーデやビジネスシーンにも使えます。
キルティングコート
キルティングコートは表地と裏地の間に中綿を入れ、その中綿がズレないように全体にステッチを施したキルティング素材のコートです。
縫い合わせの模様がダイヤ柄になっているのが特徴ですが、波模様になっているタイプもあります。軽量であることが魅力であり、冬場はコートの重さで肩が凝るという方にもおすすめです。
もともと馬用のブランケットとしてキルティングが使用されていましたが、そのファッション性に目をつけた乗馬愛好家からの要望で、キルティング素材を使ったコートが生まれました。
アウトドア用のコートとして製作されているためカジュアルな印象もありますが、その一方でどこか品格も感じられます。
ダッフルコート
ダッフルコートは厚手の起毛素材を使用したショールカラーのコートで、トッグルという浮き形のボタンとヒモを組み合わせて前を留めるのが特徴です。
フード付きのショートコートで、名前の由来となっているダッフルは起毛した厚手の荒いウール素材を指します。
もともとはベルギーにある街「デュフェル」を意味しており、寒さの厳しい北欧の地で働く漁師の仕事着として目の粗いウール繊維で作られたのが始まりといわれています。
また、手袋を着用したままポケットの中身が取り出せるように、ポケットが大きく作られていることも特徴です。
保温性の高いウールを使用していることから防寒性が非常に高く、イギリス海軍の防寒用コートに使用された経歴もあります。
ラップコート
ラップコートとは、身体を包み込むように巻きつけて使用するコートのことです。
シーンやトレンドに合わせて使えるオールマイティーさが魅力であり、カジュアルからフォーマルまで自由自在に着こなすことができます。
トレンドに左右されにくく長く愛用できるメリットもあり、ファスナーやベルト使わずに羽織るだけでも違和感がないため、自由度が高いことも魅力です。
体の動きに合わせて軽やかに動くラップコートはエレガントな印象を与え、クラシックな柄や普通なら避けそうな色でも重苦しくなく大人の余裕を示すことができます。
ラップコートにはベージュやグレー、ホワイト、ブラックなどさまざまなカラーがあり、デザインや柄のバリエーションも豊富です。
ガウンコート
ガウンコートとは、襟やボタンがなくカーディガンのようにさっと羽織るコートのことです。
コーディガンやローブコートと呼ばれることもありますが、これらもガウンコートと同じものを指します。寒くもなく暑くもない春や秋に着用されることが多く、チェスターコートやフード付きコートに近いデザインが多い特徴もあります。
前を合わせて共布のベルトで締めるラフな着こなしがリラックス感を与え、ノーカラーコートと同じように襟がないため、ボリュームのあるインナーと合わせることもできます。
ただし、最近はガウンコートのフロントをあけて着こなすのが主流であり、ベルトがないタイプも多いです。
レディースコートに合わせたい小物

レディースコートは小物との相性も抜群です。ワンランク上のおしゃれを楽しむためには、小物を上手に取り入れるとよいでしょう。ここでは、レディースコートに合わせたい小物を紹介します。
マフラー
マフラーは首元を温めるアイテムですが、コートとの相性も抜群です。
特にトレンチコートのような首元がないタイプのコートは、マフラーを着用することで着こなし感を演出しやすくなります。
また、同じマフラーでも巻き方を変えると印象も変わるため、着こなしに合わせて巻き方を変えていくのもよいでしょう。
一方で、マフラーに存在感がありすぎるとバランスが悪くなってしまう可能性もあるため、コートの色やデザインに合わせることがポイントです。
ただし、アクセントとして柄のマフラーを合わせるのはあり。
コートとマフラーの色合いが似たような場合もコーデにメリハリが生まれないため、濃淡で差をつけるなどの工夫が必要となります。
ブーツ
コートコーデにお馴染みのアイテムといえばブーツです。
ブーツにはショートブーツとロングブーツがありますが、パンツ系のファッションならショート、スカート系のファッションならロングをおすすめします。
さらに、コート丈の長さも加味しながら最適なブーツを選ぶことがポイント。特にロングコートにロングブーツは優雅なムードが漂うことから、昔から人気のコーデです。
ニット帽
ニット帽は、ダッフルコートやチェスターコートのようにキュートなデザインのコートと相性がいいアイテムです。
これらのコートにニット帽を組み合わせることによって、全体のコーデを可愛い雰囲気に仕上げることができます。また、ニット帽は保温性にも優れているため冬の寒い日にも最適なアイテムです。
一方で、トレンチコートのようにスタイリッシュなコートにニット帽を着用すると、イメージのバランスが悪くなってしまう可能性もあります。
カバン
コートに合わせるカバンはきれい系なものがおすすめです。
その理由は、寒い季節に着用するコートはしっかりとした材料で作られているものが多く、上品なものが多いためです。
しっかりしたコートにカジュアルすぎるカバンを合わせてしまうと、全体のコーデが台無しになってしまう可能性もあります。
レディースコートのおすすめコーデ
ここからは、レディースコートのおすすめコーデを紹介します。
ロングコート×ワイドパンツ

シンプルでかわいいブラウンのフード付きダッフルロングコートと、チェックワイドパンツを組み合わせたコーデ。
トップスは士ロニックの組み合わせで、ベーシックでありながらおしゃれなカジュアルスタイルにまとまっています。
ロング丈コートとワイドパンツはボリュームが下半身に集まりやすいですが、フード付きなら重心アップも可能。フードがないロングコートなら、インナーをパーカーにするのもおすすめ◎
また、白のビビットタッチグローブも違和感なく全体のコーデをおしゃれに演出しています。
ウールコート×ブラック

おしゃれ上級者な雰囲気を演出する全身黒コーデ。
のっぺりとした印象を持たれやすい全身黒コーデですが、ウールコートにコーデュロイハーフプリーツスカート、ネックストラップチョーカーTシャツと異なる素材のアイテムを組み合わせてメリハリを演出。
また、全身黒コーデの懸念点でもある重たく見えるを解消するためには、ほどよい肌見せがマストであり、コートがはだけたときに軽い印象を与えます。
露出の多さが気になるという場合は、足首が見える丈のパンツやスカートを選んでみたりなど、どこか一ヶ所だけ肌見せするというのもよいでしょう。
トレンチコート×ジーンズ

薄手のコットンハーフトレンチコートとデニム、グレーのトップを合わせたコーデ。
かっちりとした印象のトレンチに、デニムやシンプルなトップを合わせることで大人らしいこなれ感がを演出しています。
長いトレンチコートにハイウエストタイプのジーンズを組み合わせると、脚長効果を得ることもできます。トレンチコートの色味が全体的に柔らかく、春の時期にもぴったり。
一枚持っておくと前を開けたり、閉めたり工夫をしながら、さまざまな着回しが楽しめるでしょう。
ダッフルコート×ミニスカート

もこもこボアダッフルコートとコーデュロイプリーツミニスカートを組み合わせたコーデ。
白色のダッフルコートとブラウンのコーデュロイプリーツスカートで、韓国系のかわいらしいスタイルを演出。足元はムートンブーツを組み合わせ、全体的に優しいふんわりとした印象を持たせています。
また、ダッフルコートはフレアパンツとの相性も抜群であるため、これらを組み合わせることによって大人カジュアルにも様変わり。
さまざまなボトムスやスカートとの相性がいいため、自由な着こなしが楽しめます。
ビックカラーコート×小物

大きめの襟が魅力のビックカラーコートと、ベレー帽やマフラーなどの小物を組み合わせたコーデ。
優しい雰囲気を与えるベージュのビックカラーコートと白のワイドパンツで、甘くて優しい印象を演出しています。
全体のコーデの雰囲気と合うベレー帽で一体感を出し、大きめのチェックのマフラーがアクセントとなり、全体の印象を引き締めています。
さらに、薄いブラウン系のムートンブーツを組み合わせることで主張しすぎず、なおかつ足元にも存在感を出しています。
コートを着こなしてワンランク上のおしゃれを目指そう
コートをバランスよく着こなすためには、シルエットや色合わせがポイントになります。
小物を取り入れたり、ボトムスやインナーにアクセントを入れたり、暗めの色で統一するなら肌を出したりするのもおしゃれに見せるコツです。
コートにはさまざまな種類があるため、それぞれのコートの強みや弱みを把握しながら、着こなすことも重要になります。
コートを着こなしてワンランク上のおしゃれを目指しましょう。